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クリエイター:ほしのゆきこ イラストレーター

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ほしのゆきこ イラストレーター

葉、それは何かから身を守るものかもしれない。
風船、それは遠いところに飛んでゆく手段かもしれない。
涙は、それは「どうしようもないわたしが歩いている」からかもしれない。

 

作品世界のキーワード

心の奥底に眠っているもの。

作品事例

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自己紹介

病気にならなければ、イラストを描く事はなかったと思います。
逆にイラストがなければ、回復にも時間がかかったと思います。
なので、インタビューでもありのままをお話ししました。
あまり楽しいお話ではありませんが…。あ、今はとても元気です。
自分の中の闇の部分と、とことん付き合う事で自分の本質が見えてきました。
誰もが持つだろう、闇の部分。
それと同時に自分の中にある、明るい世界も見えてきました。
全く異なるタッチのイラストを描く理由は、ここにあるのかもしれません。
これからも自分の世界を大切にして描いていきたいと思います。
何処かで、誰かが、少しでも共感してくれたならば幸いです。

経歴

1978年、香川県生まれ 千葉・埼玉県育ち
2002年、日本キャンプ協会冊子の挿絵を担当
(イラストレータとしての初仕事)
日本大学 生物資源科学部 植物資源科学科 中退
以降断続的にイラストの仕事をするようになる。

HP : yukidama

クリエイター x ウッテリエ インタビュー


四角い匣と丸みを帯びた時計
曲線と直線で描かれるイラスト。なぜ“丸”が多いのか。なぜ線は一本に単純化されているのか。そのウラにあるものが、最初はわからなかった。少女が手に持つ“BOX”に何が入っているのかもわからなかった。

019_creator-01.jpg インタビューが、この絵の女の子の手にする“パンドラの匣(はこ)”を開けることになるとは思わなかった。匣の中のものを説明する前に、匣の“外見”をできるだけ素直に観てみよう。

019_creator-02.jpg イラストレーターのほしのゆきこさん、Macで絵を描くきっかけは、自宅にあった初代の半透明のiMac。それでイラストを描くずっと前から、ノートやスケッチブックにペンで絵を描いていた。大学の農学部では、緑地デザインを専攻し、公園や日本庭園、都市計画の緑地などの図面画も描いていた。iMacにadobeのソフトウエア『イラストレーター』をインストールし、独習でイラストを描きだしたのは、今から6年から7年ほど前のある日だ。

【内出血の絵】
そのきっかけは拒食症、引きこもりだった。自宅から出られなくなったので、大学を中退した。『イラストレーター』からつむぎだされる絵は、バラバラに切断されたボディパーツだった。そればかりか、パーツには血のりさえ塗り、リストカットした自らの血さえも描いた。幻覚から逃れるために描いたはずなのに、描いても描いても、描き足りなかった。幻覚につかまり、幻覚によって絵を描かされていたのかもしれない。半透明のiMacのボディの内側は、きっと内出血していただろう。

「当時は、とても暗いものを描いていました」

イラストレーターとしてのデビューは、さすがにボディパーツではなく、ほのぼのとしたキャンプ場のカットだ。キャンプ案内のイラストを描く人を探していたキャンプ協会が、紹介者を通じてイラストを依頼してきた。

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これはキャンプ協会向けの作品のひとつだ。なんともほのぼのとしたタッチ、表情、しぐさ。血しぶきはどこにもない。そんなものがあれば受注はできないけれど。閉じこもり、パソコンに向かう姿から想像しにくい、このほのぼのタッチが生まれてきたのは、やさしい心が同居していたからだ。彼女に“キャンプ場の子どもたちにも自分を投影していますか?”と訊いてみた。

【苦しくて仕方ないから描く】

「そうですね、これも自分の分身だと思います」

なぜ引きこもるようになったのか。完全主義、優等生を演じてきて、自分を出せないもどかしさが募っていたから。いつしか喜怒哀楽が激しくなり、破壊行為までした。自宅の障子を破壊しつくしたこともある。医師から統合失調症と診断され、治療とカウンセリングを始めた。

苦しいなら描きたいことを描きなさい。箱庭療法や絵を描くことで自分自身を解放させなさい。医師はそう勧めた。多く描かれるモチーフは“葉”“風船”そして“涙”だ。作品『葉傘』と『風船』を観てみよう。

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葉、それは何かから身を守るものかもしれない。
風船、それは遠いところに飛んでゆく手段かもしれない。
涙は、それは「どうしようもないわたしが歩いている」からかもしれない。

「どうしようもないわたしが歩いている」のは種田山頭火の一句。彼女の好きなことばだ。どうしようもないわたしが歩きだすと、自ら涙にくれてしまい、葉の陰に隠れたくなり、風船のように飛び去りたい。そんなモチーフがこめられていそうだ。

【ロンドン橋 fallin' down】
あるCDアルバムの仕事。それは童話『マザーグース』の歌詞カード挿画。苦しみながら描いた仕事だった。不吉な怖い童謡も影響したのか、描きながらロンドン橋から落ちるように、死ぬことしか考えていなかった。

ついにその実行の時を“家族旅行”に選んだ。旅行先からひとりで先に自宅に帰った。薬物中毒学会からの情報で、中毒を引き起こすクスリの組み合わせを学び、絶対に死ねるように錠剤を潰した。それをヨーグルトに混ぜて食べた。静かに楽になる、はずだった。

「こんなことを作家さん紹介に書いてもいいんですか?」とわたし。
「はい。大丈夫です」

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第三者から発表しておくことで、自分のことや自分の絵を、きちんと見つめたいという想いから。もちろん彼女は死ななかった。行為の代償としてICUで生死を1ヶ月間さまよったけれど。死ななかったわけは、一足先に帰宅することをカウンセラーにメールで伝えていたからだ。

変だな」と思ったカウンセラーがご両親に連絡をした。急遽旅先からもどった父と母が彼女を発見し救急車を呼んだ。家族旅行、カウンセラーへの伝言、それは無意識のうちに“家族とつながりたい”という想いが表れたのではないだろうか。 彼は花をウラから描いた。

【コンパスが好き】

仕事依頼での人物キャラクターやカットは写実的なタッチが多いが、自分自身を投影するキャラクターは“単純な丸と線”で囲まれた、可愛くて怖い表情が多い。不条理な笑顔、不条理なポーズ、不条理な文字や数字たち。

019_creator-07.jpg 元々キャラクターたちはもっと複雑な線で創られている。錯綜している。三重線を単線にする作業を通じて、不条理な生をさずかった自分自身と、世の中の不条理さとを隔てる“輪郭線”を、できるだけ単純な線に削ぎ落とす儀式。それが創作のウラ側にある。本(萩原朔太郎、梶井基次郎)と漫画(つげ義春)と文房具が好きだという彼女、どんな文具が好きかと訊ねた。

019_creator-08.jpg 「コンパスが好きです」

丸が好き。分度器も好きだというのに笑ってしまって、救われた気持ちになった。四角い匣と丸みを帯びた時計。どちらも少女がずっと持つ、ことばになりにくい秘密なのかもしれない。


(2009年4月27日 ウッテリエ郷 2100字 )

 

3つの質問

クリエイターになるための最大の投資は?
時間・精神力・想像力。
作品制作でこだわっていることは?
着飾らないこと。
スランプになったときはどうする?
趣味に没頭。パンやお菓子を作る。

特別注文について

作品事例には、繊細で、ちょっぴり内向的で、実はとても優しい心をもつ女の子を描いてみました。女の子がもつ“心象風景”を考えながら、色を考え、ポーズを決め、小物を描きこむのが得意です。
企業イメージや施設コンセプトをうかがい、貴社/貴店のキャラクターのデザインをいたします。制作物の読者ターゲットや内容、レベルなどをうかがい、フィットするイラストを描きます。

・書籍や詩集、広報誌、などの媒体の挿絵
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