プリント 印刷する

クリエイター:平田優介 画家

 017_interview00.jpg

平田優介 画家/ Yusuke Hirata: artist

ワケがあり、美大などの美術教育コースには進まなかった。だが彼の場合、肩書きや世間ウケ、師弟ヒエラルキーを気にすることはない。ちょいと遠回りをしたけれど、溢れることを描きだしたのだから。
「好きなら見失うことはない」
平田Visionのまなざしで、彼はそう語った。

he didn't step the ladder of ordinary courses for artists. but it does not need to be himself known as an artists, to seek for popularity and hierarchy in the artists society. he surely took a long way around to be the one, but now he re-started to unload his creative overstock.

 

作品世界のキーワード/Keyword of Art Work

奇遇と緩急 / unexpected modulation

作品一覧/Art works

写真をクリックすると、該当作品のページへジャンプします。Click each picture for details

017_0001-160.jpg 017_0002-160.jpg 017_0003-160.jpg
     

自己紹介/self introduction

時にファンタジーで時にミステリーで時にハードボイルドに。
一つの世界に縛られないドラマチックな世界それがflexible-artだ。
Fantasy at times, mysterious in another time, then hardboiled.
The world is changing dramatically like stage settings. This is “flexible-art.”

 

経歴/carrier・

1977年生まれ
2000年 グラフィックデザインをメインにCDジャケットやポスターデザインなどを手掛ける。
2005年以降 表現の場をキャンバスに変え油絵を再開。現在も創作活動を続ける。
たまにサックスも吹く。

Born in 1977.
Started graphical design for liner notes and poster design from 2000 with a pen tablet.
Re-started oil-painting since 2005 with paintbrushes.
occasionally plays a saxophone.

クリエイター x ウッテリエ インタビュー

好きなら見失うことはない。

「アースガーデンだから、ああいう人も来るんだな」わたしはこう呟いた。

017_interview01.jpg utteはこの春先にイベント“アースガーデン冬”に出店し、そこでクリエイター作品を販売した。ブースを離れて会場内をうろうろしていたわたしは、入場ゲート近くで“ああいう人”を見かけた。背が高くて細いシルエット。黒い帽子からずんずんと長い髪がおりて、ヒゲをたくわえて、そこから身体もおりてきている。足元は編み上げのブーツできゅっと。ちょうどこんな人だ。

017_interview02.jpg アースガーデンは地球環境保護やエコをテーマに、手作りやクラフトを推進しようというイベント。良いことだけれど、一般的な世間サマからすれば“変わっている”人が集うイメージがまだまだある。そこにこんな男性が現れたので、図らずもわたしも世間サマの心武装をしてしまい、“ああいう人”と呟いてしまった。

ところが?その彼は、入場ゲートからまっすぐutteのブースにやってきた。
実は彼はutteが登録のお願いをして、アースガーデン冬で逢いましょう!と約束をしたクリエイターの平田優介さんだった。別の日に場所をutteのオフィスに変えて、お話をうかがった。

【パンとザリガニとキャバレーからの再出発】

017_interview03.jpg 「2005年に“絵”を再開したんです」 今が生涯で一番髪が短いという彼はこう話しだした。

この作品『パンとザリガニとキャバレー』には平田さんの2005年までの半生が詰まっている。誕生、生きざま、生活を一枚の絵に封じ込めた。パンは日常生活や“食いぶち”を表し、ザリガニは小石川植物園で釣り上げた幼少時代の体験。キャバレーとは大人の男女だという。フム、愛や結婚とはキャバレーなのか。たしかに売れっ子は席から席に飛びまわって愛想を振りまき、男は娘に熱をいれて囲おうって思う。かなり似ている。
この作品、発表も販売も前提ではない。かといって趣味という雰囲気でもない。シュールな独自の世界観と表現がある。なぜ彼は絵を再開したのだろうか?

「アタマのアトリエの在庫から溢れて、追いつかないから」

描く題材が在庫から溢れだしてくる。だから“在庫処分”するしかない。処分するには“手”で描かないととても追いつかない。

手で描く前に彼は電子ペンで絵を描いていた。2000年頃からCDジャケットのデザインを多数手がけた。ジャズの独立系レーベルからの依頼。絵筆ではなくパソコンとペンタブレットを使って描いた。“デジタルはキレイ過ぎる”から、わざと曖昧な線を作ってアナログテイストを出した。それが彼なりの音楽絵画表現だった。 だがペンタブレットでは手間がかかり、アタマのアトリエの“在庫処分”にとても追いつかなくなった。これはもう手を使って描くしかない。だから再び絵筆を握った。

【花のウラに見えるもの】

017_interview09.jpgモノ心ついた頃からずっと絵を描いていた。ぐれていた中学時代でも美術クラブだけは真面目にやった。あるとき課題が出された。花の写生。植物を描くのは美術のイロハ、静物画の入門だ。クラブの生徒たちは細密に描いたり、自由に描いたりいろいろだったが、共通していたことがあった。みんな花を斜めであろうと正面であろうと、前から観ていた。だが平田さんだけ違った。

彼は花をウラから描いた。

017_interview04.jpg 裏側から写生した花の作品は、クラブの先生から褒められて、コンクールに出品された。日本国内のコンクールを勝ち抜き、海を越えてドイツのコンクールまで運ばれた。作品は戻ってこなかったが手元に賞状が届いた。(原文ママは聴いたママですが、後日談でこの絵はルーブルに飾られたという)

そこから彼の絵画観、いや世界観が変わった。“Visionを変えよう”。視点を変えて独自の絵画世界を創る。注目したのが地べたを這うアリだ。アリの眼から世界を観るとまったくちがうvisionが生まれるはずだ。

【奇遇な構図とスラムダンク】
作品『メアリ』の女を見つめよう。見つめられてみよう。すると眼に見えてきたのはアリだった。

017_interview05.jpg 眼とアリの“奇遇”な組み合わせ。あるキツいマスカラの女の“眼ヂカラ”に圧倒された。まばたきからアリがこぼれてくるのが観えた。だが眼以外の部分では、割と緩やかに描かれている。肌、髪、口元、あご・・・全体がイエローのストリームで緩やかに描かれ、眼の部分で急にタッチが変わる。ジャズやロックの演奏の転調のように聴く者を揺らす効果。

017_interview06.jpg 緩やかなタッチの流れに、奇遇な組み合わせ。平田Visionを構成するポイントがありそうだ。余談ぽく聴きだしたが余談ではなかったのが、彼が漫画『スラムダンク』信者だったことだ。このAll Time masterpiece(時代を超えた傑作)には、バスケットプレーヤーたちの斬新な構図が多数ある。余談の余談だが、主人公桜木花道のデビュー戦に、“桜木ビジョン”というエピソードがある。彼が試合で緊張のあまり、小さな視界しか見れなくなった状態。


“平田Vision”は桜木ビジョンとちがって、アリの眼で人間世界の構図を再構成する見通しの広さがある。

【好きなら見失うことはない】
そして作品『愛情の縫合』はかなり大胆だ。

017_interview07.jpg 雄鶏におっぱい!シュールだなあ。黄身は旨そうだと呟いてもいい。待てよ、雄鶏は“うふふな結合”なのか?有精卵は子どもだな?と頷いてもいい。どう解釈してもいいけれど、卵のカゴと雄鶏を結ぶ“赤い糸”を見逃すとまずい。“親子のつながり”や“親のエゴ”に想いをはせ、結合とは何なのか?とだんだん平田ワールドの深みにハマっていく。

ワケがあり、美大などの美術教育コースには進まなかった。だが彼の場合、肩書きや世間ウケ、師弟ヒエラルキーを気にすることはない。ちょいと遠回りをしたけれど、溢れることを描きだしたのだから。

017_interview08.jpg 「好きなら見失うことはない」

平田Visionのまなざしで、彼はそう語った。

(ウッテリエ go 2009年3月10日 2300字)

 

3つの質問

クリエイターになるための最大の投資は?
絵具とお酒。
作品制作でこだわっていることは?
色彩と音楽。
スランプになったときはどうする?
スランプになった事がない。

特別注文について

 

クリエイターにリクエストする

関連項目