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クリエイター:山之井美穂 帽子デザイナー

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山之井美穂

彼女は同じ帽子を創らない。何かしら新しいエッセンスを入れる。もちろん織り込んで創るフェルトや、手描きの限定布地という素材づかいの場合もある。山之井ファンからの特別な注文もある。でもほんとうの理由は、“同じものを創りたくない”という彼女の意志だ。

作品世界のキーワード

HatLove

自己紹介

素材は出来るだけ天然のものを選んでいます。
被った時の軽さも大切です。
ぽん、と置いてあっても、被ってみても
品の良さを醸しだす、たたずまいのいい帽子。
裏通りにひっそりとたたずむブティックで
何となく引き寄せられてしまう魅力を放つ…
そんな帽子を作り続けたい、と思っています。

HP http://homepage3.nifty.com/hatlove/    ブログ http://hatlove.exblog.jp/

経歴

帽子製造会社にて基礎を学ぶ。
徐々に制作の現場にも入らせてもらうようになり
季節毎のサンプルを提案しながら技術を身に付けていく。
2000年より会社のアトリエにて、約2年間講師を勤める。
同時期に個人としての活動も開始。イベントにも多数参加。
2003年 L'ART DE CHAPEAUX アトリエを構え独立。
自身の創作活動と後進の指導に勤しみ現在に至る。

クリエイター x ウッテリエ インタビュー

さりげなく変わっていて、おもしろい帽子創り

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山之井さんの快活な笑いが大好きだ。思いっきりお腹をかかえて笑う。うつむいて両目をとじて笑いにはまる。この笑いで空気中のクリエイティブな元素を吸い上げている。元素は山之井さんの心の中で、帽子のモチーフに変わり、手の中で造形になり、ミシンで縫われて化学反応を起こす。2つとない帽子のフォルム、豊かな色使い、遊び心のモチーフになる。

彼女は同じ帽子を創らない。何かしら新しいエッセンスを入れる。もちろん原毛を収縮させて創るフェルトや、手描きの限定布地という素材づかいの場合もある。山之井ファンからの特別な注文もある。でもほんとうの理由は、“同じものを創りたくない”という彼女の意志だ。

「“今回はどんな新しいものがあるの?”とお客さんが言うんですよ。負けられなくて」と快活に笑う。多作の年には300個もの新しい作品制作、近くもそれに応える発想力、創作技術の向上、そして枯れない熱意。その原動力は何だろうか。

【イースターとハンバーガー】

002_pict0256.jpg 9時5時のOL生活に満ち足りず、中堅帽子メーカーで帽子修行をしたときから、創作の帽子を作り続けるおもしろさに魅了された。それが新しい表現を次々に生み出す原動力になった。 “さりげなく変わっていて、おもしろい!と笑える帽子”を創りたい。

思い出の一作に“イースター・ハット”がある。大きなツバの上に、鳥にちなんだ飾りをいっぱい載せた。鳥のモチーフに巣をワイヤーで作り、中にタマゴを入れた。そればかりか目玉焼き(樹脂製)や唐揚げまで付けた。注文した60代のレディ、とても似合っていたとか。

わたしも山之井さんのオモシロ帽子のワナにハマった。ある料理研究家が主役のイベントに、どんなコスチュームで行けばいいか?思案をしていた。そこで「あの帽子だ!」とひらめき、山之井さんお手製の“ハンバーガー”を注文した。

あのイベント以外、この帽子を長時間かぶったことはないけれど。

【シュールな帽子デザイナーへの旅立ち】

002_dsc00644.jpg おもしろいことに好奇心がいっぱいの山之井さん、アクリル絵の具で絵を描いた中学生時代から、モノ創りの仕事をしたいと考えていた。一時期音楽に傾き、高校2年生の頃、やはり絵が描きたい!と考え直して大学で美術学科を専攻。どんな制作をしました?と訊くと意外な答え。

シュールな立体オブジェ。シュールレアリスムの先がけハンス・アルプやアンリ・マティスらの影響、さらに当時の担当教授の指導もあり、オブジェ創りに励んだ。卒業制作もレリーフとも物体ともつかない、抽象バリバリの“木の立体オブジェ”。う?ん・・・立体オブジェと帽子、どんな関連があるのだろうか?

そもそも帽子修行のきっかけは、『仕事と教室』を書店で立ち読みしておもしろそう!と思ったことからと以前うかがった。さらに突っ込んでみた。

「そのとき帽子、かむっていました?」
「いいえ」(笑)
「ミシンは得意でした?」
「いいえ。母が洋裁をやっていて、中学生の頃は家庭科の宿題はみんな母にお願いしていました」(爆笑)

なんともシュールな帽子デザイナーへの旅立ちだ(笑)。その母はシュールな娘の帽子創りに理解を示し、帽子制作の仕事着を作ってくれる。

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【何を観ても帽子に見える】

002_dsc00675.jpg シュールな笑い帽子、独創性はそのフォルムにある。一枚生地にダーツを入れてふくらみを出す。わざとセンターから縫い目をずらし、重心に変化をつける。飾りを指でくしゃっとさせて立体感を出す。ツバの縁にワイヤーを入れて小粋に持ち上げる。彼女の帽子には顔や頭をがらりと変えるアイデアと技術がある。

002_dsc00685.jpg 「創造は自分の発想力だけではない。お客さまの要望からも生まれる。そのひとつが“癌患者さんの帽子”。抗がん剤治療で一時的に髪を失った女性のため。

「構造はナイショ」と語るが、3つのピースに分かれ、後頭部まで自然に隠すデザインがポイント。うなじ部にヘアウィッグを取り付ける工夫も。帽子には病気の心も明るくする力がある。

何を観ても帽子に見える、という。車を観ても帽子に見える。花を観ても色の組み合わせをひらめく。旅先でもモチーフを探す。尽きないアイデアのべースに造形や色を観察する眼がある。帽子教室の生徒も持つけれど、あくまで作家で居続けたい。

今年の秋冬帽子のテーマは“深い森の帽子屋さん”。今年は5回、秋冬は2回の展示会をこなした。「新しい創造、まだストックあります!」帽子の造形アーチストはまだまだ笑い続ける。

(2008年10月21日 uttelier G)

3つの質問

クリエイターになるための最大の投資は?
作業部屋(アトリエ)と良きパートナー。
作品制作でこだわっていることは?
無難ではないけれど飛びすぎでない、バランスの良いオリジナリティを心がけています。
スランプになったときはどうする?
不貞寝。寝ている場合じゃない時は踊る。

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