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クリエイター:morld(マールド) 横山博昭 DESIGNER
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morld(マールド) 横山博昭 “morld(マールド)”ことデザイナー横山博昭さんは、柳橋日和のデザインルームで黙々と、あるいは人との待ち合わせに早めに着いて座りこみ、少し長めの時間があるとカフェの隅に腰掛けて、1回5分くらい、何も考えずに微細なスケッチを反復する。そうしているのが気持ちいい。 |
作品世界のキーワード
僕がものをつくるとき、もし意味の無い仕組みでできあがっている世界であれば、僕はそれをひっくり返して考えます。worldをひっくりかえしてmorld(マールド)という名前でものをつくっています。
自己紹介
1977年 日本の岡山市生まれ。大学で建築を学び、2004年にフリーランスのDESIGNERになる。morldとして2005年より活動。CI・WEBサイト・サイン計画・イラスト・印刷物などを手がける。
人は、生きる中での様々な行動の動機の根源において、他者とのコミュニケーションを欲していると考えている。
HP http://www.morld.jp/ ブログ http://journal.morld.jp/
経歴
- 千葉大学工学部建築学科卒業
- 印刷会社、グラフィックデザイン事務所を経てフリーランス
< 受賞 >
- SHIFT | 2007 CALENDAR COMPETITION
- 第11回Webby Award Official Honoree
- 第41回SDA賞 入選
- W3 Awards 2007 Silver Award
- TDC賞2008 入選
- 東京インタラクティブ・アド・アワード 金賞
- カンヌ国際広告祭2008 Bronze
- 2009年 第43回SDA賞 奨励賞受賞
クリエイター x ウッテリエ インタビュー
morldの“考える世界”と“考えない世界”
「これは何も考えずに描いてます」
このTDC(東京タイプディレクターズクラブ)2008の入賞ロゴを観て、「もごもごしているゾ」と思った。“虫”という単語ゆえでなく、数字自体がもごもごと蠢いている。
“morld(マールド)”ことデザイナー横山博昭さんは、柳橋日和のデザインルームで黙々と、あるいは人との待ち合わせに早めに着いて座りこみ、少し長めの時間があるとカフェの隅に腰掛けて、1回5分くらい、何も考えずに微細なスケッチを反復する。そうしているのが気持ちいい。
手にするのは細さ0.05mmのStaedler『ピグメントライナー』。描くというよりも、彫り師がひと針ずつ彫り込むのに近い。描くうちに、次第に方向性が見えてくる。これを2ヶ月くらい行って、ひとつの作品に描きこまれる。
【もごもごには命が宿る】
見続けると、数字の内側に命が宿ってくるから不思議だ。生命体はどーんと走りだすとか、急に立ち上がるとか、そんな単純な生命体ではない。動きたいような、とどまりたいような。まるで「もごもごしてるのが気持ちいいんだよ」と語るかのようなやつらなのだ。
文字や数字ロゴだけでなく、彼の描く木の枝や蔓や花にも生命が宿る。“丸っぽいもの”と名づけたShiftカレンダーコンペ選定作。足あとのようにも、石をコンクリに敷き詰めた“玄関のたたき”のようにも見える。この黒っぽいやつらも、少しずつ動いているように見える。
「描くときは音が無いとだめ」とmorldさんは語る。カフェの隣のテーブルでだれかが話していたり囁いている環境がいい。電話のやりとり、さざめきの会話をそこに封じ込める。だからもごもごするのではないか。
【考えることが好き】
こうも語る。「考えることが好きなんです」
数学好きの彼は、自分の中で定着するまで、いろいろなものを積み重ねる。それが自分から滲み出てくるまで、しつこく粘りっこく考え抜く。1冊の本を読む速度が極度に遅い。読み出す。読点までたどりつく。あれ、これどういう意味なんだろう?読み出し地点にもどる。もう一度読む。やっと理解する。「考える」のは大学時代からの習性だが、システムやデザインの仕事で“いかんともしがたいプロジェクト”に出会って、ますます考えるようになった。
「根本に問題があるからゼロからやらないとダメなのに、ひっくり返せないのがもどかしくて」
動かせない会社組織や力関係、いかんともしがたい方針、元々のまずいシステム設計・・・。「疲れるなあ」とつぶやきつつ、彼はクライアントから提案されたお題を引っくり返すために、考える。なぜそう言っているのか?その背景には何があるんだろう?ほんとうの問題はこうなんじゃない?問題を裸にする。
考えたデザインやコンセプトが似合うか似合わないか、じっと定着させていくのと比例して、少しずつわかり始める。“あなたにはこれお似合いね”という似合いと、本質的なところでの似合い、重なるけれど違うと感じる。その感覚を大切したい。
だから“world”の「w」を引っくり返して“morld”が生まれた。彼が愛読する『考えるヒント』(小林秀雄著)に「物を考えるとは、物を掴んだら離さぬこと」というくだりがある。彼もまた本質的な意味をとらえようとしてつかんで離さない。
morldの世界には、“考える世界”と“考えない世界”がある。
【心にまとわりつく“植物曲線”】
考える世界と考えない世界、どちらの世界にも共通するのが“丁寧な仕事”ぶり。「人生の中で丁寧さを失いすぎてはいけない」と自身のブログに書く。人間の一生分のデータを数分でダウンロードして保存できるネットの世界、生きることに丁寧さを失っていると。
「菊、芍薬、牡丹が好き」と語る彼の植物の微細なデザインには丁寧さがにじみ出る。彼の制作場の柳橋日和(浅草橋近く、花柳界で名高い柳橋のそばゆえに命名されたデザインルーム)のトイレには“山椒”が描かれている。
植物の細部を描ききる観察眼は、幼少の時分と思春期、数えきれないほど『後楽園』(岡山市)を歩いたからだ。名園と名高い江戸時代の大名庭園には、庵や堂、池や橋が点在し、それを彩る松や楓、竹などが植栽されている。後楽園好きがこうじて「公園がつくりたくて」大学は建築学部に入学したくらいだ。庭園の自然が、創作の原風景にある。
だからこそ心にまとわりつく植物曲線が描かれる。もごもご数字ロゴにも生命が宿るワケがある。
(2008年10月10日 uttelier G)
3つの質問
- クリエイターになるための最大の投資は?
- クリエイターになるならないはわかりませんが、言葉にするなら人生とか覚悟と言えると僕は思います。あまり大げさなことではなく、です。
- 作品制作でこだわっていることは?
- 最近気になっている事は、「丁寧さはどこにあるのか」と「僕たちが本当に見ているものは何か」です。
- スランプになったときはどうする?
- 僕は、常にスランプのような状態な気がします。

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シンプル&プリミティブ。
欠ければ花を抱き、満ちれば月となる。